孫悟空の強さは、よく「才能」や「戦闘力のインフレ」で語られます。
ですが私は、悟空の本当の凄さはそこではないと思っています。
悟空の凄さは、ステージの上がり方にあります。
物語の始まり、悟空は山奥で一人で暮らしていた少年でした。
社会も、世界も、何も知らない状態です。
そこから悟空は、少しずつ世界を広げていきます。

ブルマと出会い、山を出る。
亀仙人の元で修行をする。
天下一武道会に出場し、準優勝する。
その後も、
カリン様
神様
界王様
界王神
破壊神ビルス
天使ウイス
そして力の大会では第七宇宙の最重要人物にまでなり、
ついには天使しか扱えない「身勝手の極意」に到達します。
これを単なるパワーアップの歴史と見ることもできます。
ですが私は、ここにもっと大きな意味があると思っています。
それは、出会う世界のレベルが段階的に上がっているということです。
悟空は一度も、
「界王様に会おう」
「天使に稽古をつけてもらおう」
などと考えたことはありません。
いつも悟空は、
その時の自分の限界と向き合い、
目の前の壁から逃げずにいただけです。
その結果、気がつけば、
付き合う相手、見える景色、立っている場所が変わっていきました。
これは現実の人生と、まったく同じ構造だと思うのです。
人は最初から、
大きな世界を目指して動くことはできません。
でも、目の前の課題から逃げずにいると、
環境が変わり、出会う人が変わり、
気づけば自分のいるステージが変わっている。
悟空の物語は、
パワーアップの物語ではなく、ステージアップの物語です。
そして、もう一つ象徴的なのが『ドラゴンボールGT』のラストです。
一星龍との戦いの後、悟空はドラゴンボールと一体化し、
「人間 孫悟空」ではなくなってしまいます。
山奥で一人で暮らしていた少年が、
最後には「存在そのものが伝説」になってしまう。
ですが悟空は、未来を見て動いたわけではありません。
いつも、その時の自分の壁と向き合い、突破してきただけです。
その積み重ねが、結果として、
宇宙の中心に立つ存在にまで押し上げた。
だから私は、悟空の歩みを見て、こう思うようになりました。
今いる場所や環境は、
人の到達点を何も決めない。
どんな場所から始まっても、
目の前から逃げなければ、
人は必ず次のステージに進んでいく。
悟空の物語は、
それを何よりも分かりやすく教えてくれているのだと思います。


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