あれだけ勢いのあった会社も、
月日が経つにつれて徐々に売り上げが落ち始めていました。
最初は「一時的なものだろう」と思っていましたが、
気付けば毎年ジワジワと悪化している。
しかも上層部は何も手を打たないまま。
この頃から、周りでも
「辞めようかな」「転職を考えてる」
と言い出す人が増えてきました。
僕もその影響を受けて、
軽い気持ちで転職エージェントに相談に行ったり、
試しに転職サイトへ登録してみたりしました。
でも――
どこかで引っかかっていたんです。
「今の自分に、自信が持てない」
ブラック気味の環境でやってきたとはいえ、
果たしてこの経験は外の世界で通用するのか?
今のまま飛び出しても、
“会社に育ててもらった形だけのスキル”なのではないか?
そんな不安が拭えませんでした。
だから僕は、
すぐに転職活動を始めるのをやめました。
代わりに選んだのは――
「今の会社を“スキルアップの場”として徹底的に利用する」
という道でした。
まずは、社内で“見本になる人”を探しました。
自分より仕事の幅が広くて、
外に出ても通用する実力を持っていそうな人。
その人に頭を下げて、
「仕事を教えてもらえませんか」
とお願いしました。
そこからは、
自分の部署以外の仕事にも積極的に手を挙げ、
新しい業務をひたすら吸収する日々。
もちろん部署異動には時間がかかったし、
簡単ではありませんでした。
でも――動いてよかった。
「転職するにしても、準備は必要だ」
と初めて本気で思えた時期でした。
【第13話】スキル不足に気付いて“社内で鍛え直す”と決めた話
ブラック企業,パワハラ
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