希望していた業界に入り、右も左も分からないまま始めた営業職。
専門学校にも行けなかった僕にとって、
知識もスキルもゼロからのスタートだった。
だからこそ、ただがむしゃらに働くしかなかった。
■ とにかく必死だった最初の数年
営業といっても、最初からうまくいくわけじゃない。
商談は緊張するし、数字は追われるし、ミスをすれば怒られる。
外回りから帰れば、疲れ切って腕が上がらない日もあった。
それでも、ずっと続けていたことがある。
先輩の指示は全部メモする
得意先の情報を細かく記録する
相手の望むタイミングを読み取る
担当先に小まめに顔を出す
特別な才能や派手な営業トークはなかった。
でも、“愚直に続けること”だけは誰にも負けなかった。
■ 周りからは「まだ出来ない後輩」の扱い
不思議なもので、
どれだけ頑張っていても最初の印象が強かった為か評価ってすぐには変わらない。
どの部署にも
「仕事ができる人扱いされる先輩」
「いつまでも後輩扱いされる人」
っているけれど、僕は完全に後者だった。
判断が弱い
報連相が多い
慎重すぎる
そして何より自信がない
そんな印象を持たれていたと思う。
実際、僕は器用じゃない。
周りより遅れているように見えたのも事実だ。
でも、ひとつだけ違う点があった。
僕は、同じことを毎日コツコツ積み重ねることだけは得意だった。
■ 気づいたら「予算が最も綺麗に着地する営業」になっていた
ある時、直属の上司がふと気づいてくれた。
毎月の数字が、誰よりも乱れず“綺麗に”仕上がっている。
大きな爆発はないけれど、落ち込みもない。
どの得意先も安定して数字が推移していた。
それは、がむしゃらに積み重ねた小さな努力の結果だった。
取引先との信頼関係が深まった
相談や依頼が自然と来るようになった
トラブルが減り、修正が少なくなった
予算の読みが当たるようになった
気づけば、
他の営業よりも数字が安定し、予算の組み立ても上手くいくようになっていた。
でも、大多数の人はそれに気づかない。
評価されるどころか、相変わらず後輩扱いのままだった。
だけど不思議と、それで良かった。
僕は誰かに褒められたくてやっていたわけじゃない。
ただ、仕事に向き合っていたら自然と成果がついてきた——
それが自分の自信になった。
■ “才能より習慣”が、僕のキャリアを支えていく
この頃に気づいた。
成功って、速い人が勝つんじゃなく
続けた人が勝つんだ。
派手な成果ではなく、
“毎月の当たり前”を安定して作れる人は強い。
この営業経験が、後の転職やキャリアアップにも確実につながっていった。
■ 次回予告
第6話:最初の大きな壁——評価されない葛藤と、そこから見つけた突破口
数字は出しているのに評価されない。
頑張っても「できない後輩」のまま。
その理不尽さと向き合った時、僕は何を考え、どう動いたのか——。

コメント