慣れない環境で、少しずつ見えてきた違和感
新しい職場に慣れるには時間がかかる。
52話で書いたように、その考えは今でも変わっていません。
人も仕事の進め方も違う中で、
最初からうまく立ち回れる方が珍しい。
そう思いながら、日々を過ごしていました。
業務内容は少しずつ理解できてきている。
最低限の会話もできている。
表面的には、特に問題は起きていませんでした。
それでも、
心のどこかで小さな引っかかりが残っていました。
■周囲と自分の間にある、目に見えない距離
周囲の人たちは、
雑談を交えながら自然に仕事を進めています。
誰かが誰かに声をかけ、
ちょっとしたやり取りを繰り返す。
職場としては、ごく普通の光景です。
その輪の中に、
自分が完全に入れていないわけではありません。
ただ、
どこか一線を引いている感覚がありました。
必要な会話はする。
聞かれれば答える。
でも、それ以上は踏み込まない。
自分から距離を詰めにいくことが、
ほとんどなかったのです。
■無意識にかかるブレーキ
誰かと話していても、
関係が近づきそうになると、
自然とブレーキがかかる。
意識して避けているわけではありません。
嫌な思い出が蘇るわけでもない。
ただ、
「このくらいでいい」
そう判断して、距離を保ってしまう。
その癖は、
今回の転職で突然生まれたものではなく、
もっと前からあったような気がしました。
■妻から言われた、何気ない一言
この距離感をはっきり意識するきっかけは、
職場の出来事だけではありません。
以前、妻から
「あなたって、人と距離を取るところがあるよね」
と指摘されたことがありました。
深刻な話ではありませんでした。
責められたわけでもありません。
本当に、
会話の流れで出た一言だったと思います。
それでも、
一番身近な人からそう言われたことで、
自分の中で引っかかっていた感覚に、
名前がついた気がしました。
■これまで深く考えてこなかった理由
正直に言うと、
これまでその距離感を
良いとも悪いとも考えたことがありませんでした。
「自分はこういうタイプだから」
「深入りしない方が楽だから」
そうやって、
特に問題視せずに過ごしてきたのです。
むしろ、
大人として普通の距離感だと思っていましたし、
無理に合わせるより健全だとすら感じていました。
だからこそ、
改めて向き合う必要性を感じたことはありませんでした。
■気づいたことで、初めて立ち止まった
転職という環境の変化と、
妻の言葉が重なったことで、
「これは性格で片付けてしまっていいのか?」
という疑問が、初めて浮かびました。
直したいとか、
変わらなければいけないとか、
そういう結論はまだ出ていません。
ただ、
自分にはそういう傾向がある、
という事実を、はっきり認識しただけです。
■次の話につながる、ひとつの癖
この頃の僕は、
多くのことを
「自分はこういう人間だから」
という言葉で整理していました。
それは諦めというより、
自分を納得させるための言葉だったのだと思います。
考えなくて済む。
説明しなくて済む。
楽だったからです。
でも本当に、
それでよかったのか。
次の話では、
この「片付け方」そのものについて、
もう少し振り返ってみようと思います。

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