結婚して、状況が変わったあと
時間は一気に進み、
僕は結婚しました。
生活の軸は、
父親と同居する家から、
妻とつくる家庭へと移っていきました。
そして、
同居を解消する話が現実的になった頃のことです。
妻の一言
引っ越しや今後のことを話している中で、
妻が何気なく言いました。
「家の契約内容、ちゃんと確認したら?」
その一言に、
僕は少し言葉に詰まりました。
正直に言うと、
契約内容を自分で理解した記憶が
ほとんどなかったからです。
初めて向き合った契約書
父親から家の契約書を受け取り、
初めてじっくり目を通しました。
専門用語ばかりで、
簡単には理解できません。
ただ、
ある部分で手が止まりました。
連帯債務者
そこに、
僕の名前が書かれていました。
違和感を確かめるために
その時点では、
まだはっきりとは分かりませんでした。
「連帯債務者って、
具体的にどういう立場なんだろう?」
そう思い、
僕はローンを組んだ会社へ
直接電話をしました。
電話で知らされた事実
担当者から説明を受けて、
そこで初めて分かりました。
このローンは、
親子リレーローンだったということ。
父親だけのローンではなく、
僕が将来返済を引き継ぐ前提で
組まれていた契約でした。
つまり、
最初から僕は
当事者として組み込まれていた、
ということです。
初めて理解した自分の立場
頭の中が、
一気に静かになったのを覚えています。
「大丈夫だよ」と言われていたこと。
詳しい説明がなかったこと。
違和感を飲み込んできたこと。
それらが、
一本の線で繋がりました。
僕は、
ただ名前を書いただけではなかった。
将来の返済を前提に、
人生設計ごと
この家に組み込まれていた。
怒りよりも先に来たもの
この事実を知った瞬間、
怒りがなかったわけではありません。
でも、
はっきり怒れるほどでもなかった。
どちらかというと、
感情が鈍くなっているような感覚でした。
驚いたはずなのに、
体が反応しない。
「そうだったのか」と
理解しているのに、
気持ちが追いついてこない。
子どもの頃から、
大事なことほど
説明されないまま進んできた。
だからなのか、
ここでもまた、
受け入れるしかない、
そんな感覚が先に立っていました。

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