【第14話】叩かれても挑戦する ― 僕が転職を意識し始めた日



「新しいことに挑戦すると、人は必ず叩かれる。」
この言葉を、僕は社会人になって何度も実感してきた。

それでも、叩かれても、叩かれても
“挑戦する側の人生”を選んでよかったと今は思う。

■ あれだけ勢いのあった会社の変化

入社してしばらくの間、会社は本当に勢いがあった。
部署も活気に満ちていて、毎日が戦場のようだったけれど、
その分だけ得られるものも多かった。

しかし月日が経つにつれて、目に見える形で変化が訪れた。

売上が落ち始め、以前のような勢いが徐々に失われていった。
数字だけではなく、社内の空気まで重たくなったのを覚えている。

この頃からだ。
「辞めようかな……」と呟く人が少しずつ出てきたのは。

僕自身もどこかで気づいていた。
このまま会社に依存していては、いずれ苦しくなる――と。

■ 軽い気持ちで登録した“転職サイト”が突きつけた現実

そんなある日、僕は本当に軽い気持ちで転職サイトに登録し、
エージェントにも相談しに行った。

けれど、結果は想像以上にシビアだった。

「この経験だけだと候補が限られてしまいますね」

エージェントから言われた言葉に、
僕は静かにショックを受けた。

あれだけ働いてきたのに、
自分は市場価値が高いと思っていたのに、
実際の僕は“どこにでもいる凡庸な人”だった。

今のままじゃ戦えない――。
その事実を突きつけられた気がした。

■ スキルが足りないなら、社内で取りにいくしかない

転職活動はすぐにストップした。

逃げるように会社を飛び出しても、
外で通用しない自分のままでは意味がない。

だから僕は「今の会社で経験を増やす」ことを選んだ。

この環境でできることは必ずあるはずだ。
誰かのせいにする前に、自分が変わらなければ。

僕はまず、社内で「見本になる人」を探した。
そして思い切ってその人に声をかけた。

「自分にも仕事を教えてください。
 このままじゃダメだと感じています。」

正直、勇気がいった。
けれど、その一歩を踏み出した瞬間、
僕のキャリアは静かに動き出した。

■ 出る杭は打たれる。挑戦すれば必ず叩かれる

新しい仕事に挑戦し始めた頃、
僕は想像以上に叩かれた。

「なんでお前がやるの?」
「余計なことしなくていいよ」
「調子に乗ってる」

そんな声が飛ぶのは日常茶飯事だった。

社内で揉めたことも多かった。
できない仕事を任され、結果を出すまでに時間もかかった。

自分の選択が正しいのか、何度も迷った。

でも、逃げなかった。

誰に何を言われても、
途中で投げ出してしまったら、
いつまで経っても自信なんて生まれない。

自分の人生を変えたかったから、
僕はただ前を向いて動き続けた。

■ やり切った頃、誰も叩かなくなった

挑戦を始めてから、半年、1年……と時間が経っていくうちに、
少しずつ周囲の空気が変わり始めた。

以前は何をやっても叩かれていたのに、
気づけば誰も何も言わなくなっていた。

むしろ、困った時に声をかけられるようになった。

「あの件、手伝ってもらえる?」
「前にやってたあの仕事、どうやったの?」

かつて僕を叩いていた人たちでさえ、
僕の経験を頼ってくるようになっていた。

あの時、逃げずに踏ん張って本当に良かった――。
これは心の底からそう思える瞬間だった。

■ 成長したのは、環境のおかげでも他人のおかげでもない

挑戦して、叩かれて、悔しい思いをして。
そのすべてが、僕の経験になった。

振り返ると成長した理由は、
会社が変わったからでも、誰かが助けてくれたからでもない。

「自分で動いたから」だ。

あの日、転職サイトで現実を突きつけられて逃げずにもう一度、自分をつくり直そうと決めた。

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