売り上げが右肩上がりだったあの会社も、年月が経つにつれて少しずつ空気が変わっていきました。
外から見れば何も変わっていないように見える。
でも、中にいると確かに「何かがおかしい」と感じる瞬間が増えていく。
今回は、当時の僕が肌で感じた「衰退のサイン」をまとめます。
① 成績の悪い社員ばかりを“集中攻撃”し始めた
最初に変わったのは、人の扱いでした。
売上が悪い社員だけが連日のように呼び出される。
当人の力不足というより、会社全体の問題なのに、個人だけが責められる。
その結果、周囲も萎縮し、
「次は自分がやられるかも」という空気が広がっていきました。
② 上層部の目が外ではなく“内側”に向き始めた
本来なら市場やお客さんを見なければいけないのに、
いつの間にか社内の“力関係”の話が中心になっていった。
・誰の意見が通るのか
・どの部署が権限を持つのか
・誰が中心となるか
そんなことばかりが議題になる会議が増え、
外の変化を追う力が弱まっていきました。
③ 報告業務が異常に増える(しかも毎年増え続ける)
この頃から、一気に増えていったのが“報告書類”。
・今日何をしたか
・明日の訪問予定
・電話した件数
・取引先との会話内容
・イベント結果の細かな数字報告
これらが年々積み上がり、
現場の時間はどんどん奪われていきました。
休日でも「ちょっと教えて」とLINEやメールが入り、休まらない日が増えていきました。
④ 業務時間外の連絡が“活発”になった
夜の21時、22時…。
本来なら静かな時間帯に、通知が鳴る。
「今日の数字どうなってる?」
「これ、すぐ確認して」
特に急ぎでもない連絡が多く、
常に追われている感覚がありました。
⑤ 各部署に“自分ルール”を押し付ける人が出始めた
会社が弱ると、なぜかこういう人が勢いを増します。
「うちのやり方に合わせて」
「前例がこうだから」
「これはこうじゃないとダメ」
チームで動くべき仕事が、
人のこだわりやプライドで止まってしまう。
こういう“見えづらい歪み”が現場に最も致命的でした。
⑥ 辞める人が増えていく(特に優秀な人から消えていく)
仕事ができる人ほど、組織の変化に敏感です。
空気が悪くなると、逃げ道がある人から順番に辞めていく。
残った人は、最低限の仕事だけこなすようになり、
組織としての勢いが明らかに落ちていきました。
⑦ よくわからない会議が増えていった
会社が苦しくなるほど、意味のない会議が増える。
これは本当に不思議です。
・報告のためだけの会議
・資料作成が目的の会議
・「コスト削減」を叫ぶだけで現場任せの会議
会議が増えるほど現場が疲弊し、
さらに悪循環に陥っていきました。
⑧ “謎のノルマ”がじわじわ追加されていく
売上が落ち始めてから、
突然「これ毎日やって」「これは必ず数字にしろ」というルールが増えました。
特に負担が大きかったのは、
・実質的な“残業の強要”
・1日◯件以上の電話を必須とする謎のノルマ(※当時は10件以上が暗黙のライン)
数字だけが独り歩きし、
目的や意味が不明な仕事が増えていく。
現場は疲れ切っていきました。
【第16話】会社が静かに傾いていくときに現れた“サイン”
ブラック企業,パワハラ
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