高校3年生のとき、僕にはひとつだけ「自分で選んだ未来」がありました。
それは、専門学校へ進学すること。
当時の僕にとって進学は、
“親の問題に振り回されてきた人生から抜け出すための、最初の一歩”
のように感じていました。
お金のことを考えると胸が重くなったけれど、それでも思い切って、ダメ元で聞いてみたんです。
「進学したい。専門学校に行って勉強したい」
そのとき返ってきた親の返事は、意外にも早く、そしてあっさりしたものでした。
「わかった。じゃあ受験してみれば?」
――その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ明るくなりました。
“もしかしたら、本当に行けるかもしれない。”
そんな期待が生まれました。
でも、その希望は長く続きませんでした。
入学1週間前に親の態度は一変しました。
「やっぱり専門学校行けなくなった」「そんなお金はない」「あんな学校行かなくてよかったよ」
理由は毎回違っていて、何が本当なのかもわからなかった。
ただ、一つだけ確かなのは――僕の未来は、僕以外の誰かの都合で簡単に奪われてしまったということ。
行き場のない悔しさと、心の奥に沈むような無力感。
「自分で選ぶ」という当たり前の権利が、僕には許されなかった。
そのときのことを思い出すと、今でも胸が少し苦しくなります。
でも、あの経験があったからこそ、
いつか絶対に自分の力で道を切り開く、
そう強く思うようになったのも事実です。
進学という形では叶わなかったけれど、
“あの時の悔しさ”は、後の僕の人生を支える原動力になっていきました。

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