【第4話 初めて社会に出て知った“働くことの現実”と、希望の業界で掴んだ小さな自信 】

高校卒業後の2年間、僕は動けなかった。
家庭の借金、母のパチンコ依存症、父の自己破産——。
進学すら叶わず、ただ時間だけが過ぎていった。

それでも、心のどこかでずっと思っていた。

「本当は専門学校に行って、この業界の道に進みたかった」

その夢は叶わなかったけれど、
巡ってきた求人の中に、偶然にも“希望していた業界”の仕事があった。

大企業ではない。
でも、僕にとっては“止まっていた人生が動き出す扉”のように見えた。

■ 初めての職場で感じた「自分には何もない」という現実

働き始めた頃の僕は、何も持っていなかった。

学歴で武器になるものはない

家庭が安定していたわけでもない

専門学校で学んだ知識もない

同僚たちと比べると、
「自分には何もない」という現実を突きつけられる毎日だった。

丁寧に教えてもらえるわけでもなく、
失敗すれば怒られるし、ついていけなければ置いていかれる。
家庭よりもはるかにシビアな世界だった。

でも、その中で僕は気づいていった。

「ここでは、“今の行動”で評価されるんだ」

生まれた家がどんな環境でも、
過去がどれほどボロボロでも、
“働く”という世界はゼロからやり直せる場所だった。

■ コツコツ積み重ねた努力が初めて報われた瞬間

最初の頃は怒られてばかりだった。
雑用一つうまくいかず、失敗の連続だった。

だけど、僕には一つだけ武器があった。

「人より少しだけ頑張ることならできる」

誰よりも早く出社して準備する

同じミスをしないようノートに全部書き出す

わからないことはそのままにせず調べる

地味で、誰も見ていないような努力だったけれど、
少しずつ、上司が僕を認め始めてくれた。

そしてある日、こう言われた。

「お前は伸びるぞ。素直なやつは強い」

その言葉は、
家庭では一度ももらったことのない“肯定”だった。

僕は初めて、
「社会で生きていけるかもしれない」
そう思えた。

■ 希望の業界で働けたことが、今のキャリアにつながっていく

専門学校には行けなかった。
学ぶ環境もなかった。

それでも、
「入りたい業界で働けた」
その経験は、僕の人生を大きく変えた。

ゼロから飛び込んだ世界で学んだことは、
後に中途で年商1000億規模の企業へ転職する時の土台にもなった。

あの頃の僕は必死だったけれど、
振り返ればすべてが未来につながっていた。

■ 次回予告

第5話:初めて任された仕事と、そこで見えた“自分の可能性”

希望の業界に足を踏み入れた僕に、
次はどんな試練と成長が待っていたのか——。

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